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クルージング計画

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この度、横浜マリーナ会員の斎藤智さんが本誌「セーラーズブルー」にてヨットを題材にした小説を連載することとなりました。

クルージング教室物語

第132回

斎藤智

横浜マリーナのクラブハウスは、赤おにや青おになど節分の飾り付けがされていた。

クリスマスやお正月には、毎年、業者に頼んで、マリーナ内の施設いたるところに飾り付けをしているが、そのほかの年中イベントで飾り付けをするのは、めずらしかった。

実は、横浜マリーナの会員の中に、東北出身の方がいて、その方が、地元でもらった大きな節分の鬼などの飾り付けを、自宅に飾るには、大きすぎて飾れないからと、横浜マリーナに寄付したのだった。

以来、毎年節分になると、スタッフが倉庫から出してきて、節分の飾り付けをするようになっていた。

「かわいい!」

ルリ子は、その赤おにを見て叫んだ。

「そお?なんか顔が恐くない」

洋子が答えた。

「そうか。ルリちゃんたちは、去年の4月からヨット教室で始めているから、この鬼を見るの初めてなんだね」

麻美が言った。麻美は、去年も鬼の姿を見ていた。

「もう一年か。早いな」

ラッコの女性クルーたちが、鬼の前でわいわい騒いでいると、事務所の奥から豆を持った横浜マリーナのスタッフが出てきた。

「豆まきしませんか?」

そのスタッフは、いっぱい豆が入っている木の器をルリ子たちに手渡しながら言った。

毎年、スタッフがクラブハウスの部屋全てとマリーナ内の艇庫やあっちこっちの施設に豆をまいているのだという。

でも、今年は、節分が日曜日と重なってしまったために、スタッフは、会員が船を出航するのに、クレーンなどを操作したりする仕事で忙しくて、豆をまいている時間が無いというのだった。

「いいよ!私たちでまいてあげる!」

ルリ子や佳代たち皆は、横浜マリーナのスタッフから豆を受け取ると、クラブハウスやマリーナのあっちこっちに走っていき、豆をまき始めた。

「鬼は外!福は内!」

ルリ子たちは、大声で叫びながら豆をまいていた。

「今年の豆まきは、元気が良くていいな」

自分のヨットやボートのデッキ上でのんびりくつろいでいたおじさんたちは、元気に豆をまいているルリ子たち女性を、笑顔で眺めていた。

「ごくろうさま」

豆をまき終わって、クラブハウスに戻って来たルリ子たちに、スタッフが紙でできた鬼のお面をくれた。

「隆さーん」

ルリ子に急に呼ばれた隆が振り向くと、もらったお面を付けさせられた。

「わあ!鬼だ」

それを見た洋子は、隆に向かって豆を投げつけた。

隆は、クラブハウスの前で逃げ回ってみせた。

「よし、今度は佳代が鬼だ」

逃げ回っている途中で、隆は、自分の鬼のお面を外して、佳代の頭に付けた。

「佳代ちゃんが鬼だ」

今度は、佳代に向かって豆を投げ始めて、佳代が逃げ回る。

「なんか子どもみたい」

麻美は、追いかけっこしている隆や佳代たち皆を、笑顔で見ていた。

豆まき

隆たちは、日曜の午後、出航から戻って来ると、横浜マリーナのクラブハウスでのんびりしていた。

夏だと、夕方、夜遅く日が沈むぎりぎりまで、ヨットを出してセイリングしているが、冬のセイリングは、寒さのせいでマリーナに戻って来る時間も早い。

今日なんかは、お昼にキャビンの中で早々にお昼ごはんを食べ終わると、横浜マリーナに戻って来てしまっていた。

それから午後は、横浜マリーナのクラブハウス2階にある憩い室のソファで寝転びながら、クラブハウスのテレビを眺めて過ごしていた。

「私たち、今日の午後ってずっとテレビのマラソン見ていない?」

洋子が言った。

「私なんか親にヨットに行ってきますって言って、うちを出てきているんだけど…」

「そうだよね。それで、ずっとここでマラソン見ているんだから」

ルリ子たちは、自分たちのことを笑ってしまっていた。

「でも、きっとヨットに行っても、ヨットのキャビンの中のテレビで、ずっとマラソン見ていたと思うけどね」

「確かに!」

隆に言われて、皆は頷いた。

「ただいま」

雪と一緒に、外に行っていた麻美が、まるで自分の家に帰ってきたように、クラブハウスの扉を開けながら言った。

「うちの人たちは、だらだらしているね」

麻美は、ソファで寝転がっている隆やルリ子たちを見て笑った。

「どこに行って来たの?」

隆が、ソファに寝転がった姿勢のまま、麻美に聞いた。

「目の前のポンツーン…」

麻美が答えた。

「暁のクルーの人たちが、せっせとセイルを洗濯したり、デッキの周りを水洗いしていたよ」

「それを手伝っていたの?」

「見ていただけ…。雪ちゃんは、一緒になってウインチをばらしていたけどね」

麻美が答えた。

「雪。ウインチをばらしていたんだ。何、グリースかなんか塗っていたの?」

「そう。グリースを中に塗ったら、ウインチの回りがすごく良くなっていたよ」

雪が隆に答えた。

「グリースの塗り方とか、ウインチのばらし方ちゃんと覚えた?」

「うん!」

「それじゃ、今度うちのヨットでも、グリース塗るときは、雪が全部一人でもできるんだ」

「そうだね。大丈夫だよ」

「じゃ、皆に雪が中心になって教えてあげてよ」

隆が言った。

「最近さ、横浜マリーナの周りばかりで、どこか遠くまでセイリングで行っていないよね」

麻美が発言した。

「だって、寒いし、2月は長い休みもないじゃん」

「それじゃ、3月になったら、どこか遠出しようよ」

麻美が皆に提案した。皆は、賛成した。

「3月だったら、春分の日に連休あるんじゃない」

「そしたら、春分の日に、三崎か千葉にでも出かけてみようか」

皆は、3月の連休にラッコでクルージングに出かけることになった。

斎藤智さんの小説「クルージング教室物語」はいかがでしたか。

横浜マリーナでは、斎藤智さんの小説に出てくるような「大人のためのクルージングヨット教室」を開催しています。

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