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美幸ちゃんのプレゼント

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この度、横浜マリーナ会員の斎藤智さんが本誌「セーラーズブルー」にてヨットを題材にした小説を連載することとなりました。

クルージング教室物語

第190回

斎藤智

お誕生日、おめでとう!

深浦から横浜マリーナに戻って来ると、マリーナのクラブハウスで麻美は、美幸からプレゼントをもらった。

「ありがとう!」

麻美は、笑顔で美幸にお礼を言った。

美幸のプレゼントの中身は、手編みのセーターだった。

「いいな!麻美ちゃん」

「美幸ちゃんの手編みだよ」

麻美は、皆から言われていた。

「これ、美幸ちゃんが編んでくれたの?」

麻美は驚いた。

そのセーターは、お店で売っていると言われてもわからないぐらい良く編まれていた。

「すごい!お店で売っていてもおかしくないよ」

麻美は、美幸に言った。

「ラッコのヨットが付いているのよ」

美幸は、セーターのお腹の中央部分を指差して説明した。

セーターの真ん中には、ヨットの絵柄が編まれていた。

「どうしたら、ほかのヨットでなくて、ラッコってわかるように編めるか悩んだの」

ヨットの絵柄は、ラッコのようにちゃんとマストが2本立っており、入り口のドアや後部デッキが盛り上がっているところなど、よくラッコの特徴をとらえていた。

「いいな!俺も欲しい」

セーターのラッコの絵柄を見て、隆も欲しがった。

「欲しい?」

「うん!」

麻美が隆に聞くと、隆はもらえることを期待して大きく頷いた。

「だめ!あげない。美幸ちゃんが私にくれたものだもん」

隆は、麻美に断られた。

「私も、本当は麻美ちゃんのお誕生日会、参加したかった」

美幸が言った。

「私も美幸ちゃんに参加してほしかった」

「マリオネットは、今日はどこに行ったの?」

隆が美幸に聞いた。

「山下公園のほうに行ってきたの」

美幸は答えた。

「山下公園もいいよな」

隆は言った。

「山下公園って言っても、ヨットで行ったんじゃないよ。中野さんの車に乗って、車で行ってきたんだよ」

「なんだ、そうなんだ」

「マリオネット、今日は3人だけだったから」

「最近、マリオネットはあまり乗員の集まり良くないんだね」

隆は美幸に言った。

「よし、今夜は、これから美幸ちゃんも一緒に山下公園のすぐ近くの中華街に行こうか。そこで夕食を兼ねて、美幸も一緒に麻美の誕生会をやろうか」

隆は提案した。

「ええ、いやだ。何度も誕生会するなんて、若ければいいけど、私の年じゃ何度も誕生会すると、どんどん年とっていくみたいで…」

麻美が答えた。

「それもそうか。誕生日迎える度にどんどんおばさんになっていくだものな」

隆は、自分の冗談に満足しているみたいで笑顔だった。

が、麻美はちょっとプゥと頬を膨らましていた。

ヨットの後のご馳走

その日の夜、隆たちは中華街にいた。

横浜マリーナから横浜中華街までは、車ならば30分もかからない。

ただ、中華街の周りは、山下公園などもあって日曜は人が多く大混雑しているので、ヨットの後にあまり来ることはなかった。

「どこにしようか?」

車を降りて、隆は言った。

「麻美ちゃん、どこがいい?」

「麻美ちゃんが一番食べたいところに行こう」

麻美の誕生日だからということで、皆が麻美のことを一番にしてくれていた。

夜の夕食は、昼間一緒でなかった美幸も一緒だ。

「じゃあ、あそこにしよう」

隆が皆を中華街の中の一軒のお店に連れて行った。

そこは、前にテレビで紹介されていたお店で、そのテレビを麻美の実家で見ていたときに、麻美が一度行ってみたいと言っていたお店だった。

「よく覚えていたわね」

麻美は、そのお店の中に入って、隆に言った。

「そりゃ、大好きな麻美ちゃんのことなら、なんでも覚えているよ」

何も言わずに黙ったままの隆に代わって、そう言ったのは雪だった。

「本当は、麻美と二人だけでこの店に来たかったよ」

「奥のテーブルで静かにプロポーズさせてくれよ」

雪の言葉の後に続いて、麻美に勝手なことをしゃべっているのは香織や美幸たちだった。

「勝手なナレーション付けないように」

隆は、恥ずかしそうに言った。

「回るテーブルがある」

テーブル中央の上に置いてあった回るテーブルを見て、佳代が言った。

「佳代ちゃんなら、小さいからその上に乗って回れるかもね」

麻美は席に腰かけながら言った。

さすがに、テレビで紹介されただけあって、ほかのお店よりも美味しい料理だった。

皆がお腹いっぱいになって、満足してお店を出ると、表で暁のクルーたちと出会った。

「あれ、ラッコさん」

「あ、暁さん」

暁は、ヨットレースに遠征して、夕方に横浜マリーナに戻って来た後に、中華街に寄ったのだった。

望月さんは、ヨットレースが終わった後は、よくクルーを連れて中華街に来ているらしかった。

レースで頑張ってくれたクルーの皆に、お疲れ様の意味でご馳走しているのだそうだ。

来月の終りに、大きなヨットレースに参加するのだと言っていた。

そのための練習も兼ねて、今は、ほとんど毎週のように千葉やら横須賀やらの小さなヨットレースに参加しているそうだ。

「今日も優勝したよ」

車の後部座席に無造作に置かれていた小さな優勝カップを隆たちに見せてくれた。

小さなヨットレースだと、暁が出ると大概、優勝してしまうようだ。

「もう、このへんのヨットじゃ、暁さんの相手になるヨットいないんじゃないですか」

隆は答えた。

斎藤智さんの小説「クルージング教室物語」はいかがでしたか。

横浜マリーナでは、斎藤智さんの小説に出てくるような「大人のためのクルージングヨット教室」を開催しています。

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