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セールトレーニング

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この度、横浜マリーナ会員の斎藤智さんが本誌「セーラーズブルー」にてヨットを題材にした小説を連載することとなりました。

クルージング教室物語

第82回

斎藤智

ルリ子は、なんとなくもやい結びが出来るようになってきていた。

暁の若い男性クルーに教えてもらえたおかげだ。

「もやいを結べるようになったか?」

「はい!」

ルリ子は、望月さんに聞かれて、自信たっぷりに答えた。

「それで、そっちの彼女は、結べるようになれたのか?」

望月さんは、今度は雪のほうに聞いた。

雪も落第

「私?」

「ああ。君も、うまく結べなくて、ルリ子にロープを手渡していただろう」

雪が結べずに、ルリ子に渡していたところを、しっかり望月さんに見られていたようだった。

雪は、ばれていないと思っていたので、まいったなって表情をしていた。

「これを、こうやって結ぶんですよ」

ルリ子に教えていた男性クルーが、今度は、暁のライフラインにぶら下がっていたロープを使って、雪に教えてくれていた。

雪は、男性クルーに言われて、自分でも、もやい結びに挑戦していた。

「君は、体格が良いから、もっと出来るのかと思ったが、まだもやいも結べなかったのか」

長身で大きな姿の雪を見ながら、望月さんが雪に呆れていた。

「それにしても君は、すごいよな。もやいの結び方も、船の抑え方も、しっかり出来ていたよ」

「洋子ちゃんは、ヨット一番上手だもの!」

望月さんが、洋子のことを褒めたのを聞いて、物静かな洋子よりも先に、ルリ子が、まるで自分のことを褒められたように、堂々と答えていた。

「ルリ子は、人のことはいいから、自分がしっかりもやい結びを出来るようになりなさい」

「はい!もう大丈夫です!」

ルリ子が、笑顔で望月さんに答えた。

「本当か。そしたら、来週またちゃんと結べるかどうかのテストするぞ」

「ええ…」

望月さんに言われて、ルリ子はちょっと自信なさげになっていた。

セールトレーニング

次の日曜日、ラッコのメンバーはいつもより早く横浜マリーナに集合していた。

先週の日曜日に、雪とルリ子が暁のポンツーンに着岸するのを手伝ったときに、うまくもやい結びを結べなかったというのを聞いて、今週のセイリングは、少し集中して、ヨットの練習をしようということになったのだった。

別に、暁のオーナーの望月さんに隆が何か言われたというわけではなかった。

ルリ子が、麻美と電話で話しているときに、たまたま麻美たちがお休みのときのヨットでの話になって、ルリ子が自分から暁の着岸の手伝いをしたら、もやいを結ばなくて怒られちゃったって麻美に話したのだった。

そのことを麻美から聞いた隆が、それじゃ、今度の日曜日は、ヨット練習をする日にしようということになったのだった。

「お弁当のおにぎりを作ってきたよ!」

「佳代ちゃんも一緒に作ったんだよね。佳代ちゃんの作ったおにぎりのどれかには、中にチョコが入ったおにぎりがあるんだよ」

ルリ子は、お弁当の入った籐のバスケットを手に持って、麻美に言った。

「そうなんだ。ルリちゃんたちのお弁当を、お昼に食べるの楽しみ♪」

麻美は、ルリ子の頭を撫でながら、笑顔で答えた。

レース艇の暁のクルーたちだと、来週の本番レースのための練習、セールトレーニングをやるなんていう朝は、クルーたちは、出航前のマリーナに集まった時からレースの緊張感が漂っていたりするのだが。

でも、遊び、クルージングが主体のラッコでは、今日は頑張ってセールトレーニングしよう、なんて朝でも、お昼に食べるお弁当の話をしていたりして、全く緊張感はなかった。

ちなみに、ヨットでセイリングの練習をすることをセイルトレーニングと呼んでいる。

「よし、出航するぞ」

横浜マリーナのスタッフに、クレーンで船を下ろしてもらった。

その船に乗った隆は、ステアリングを握ると出航した。

洋子たちクルーは、クレーンから飛び出ている突起などにぶつからないようにウォッチしている。

「セイルを上げようか」

ヨットが港の沖に出ると、隆の号令でセイルを上げ、エンジンを止めて、ヨットは風の力で走り出した。

「タックするぞ」

セイルを上げて、しばらくセイリングしてから隆の号令で、クルーたちは、ヨットのセイルの向きを入れ換えてタックをした。

タック、ジャイブとは、ヨット用語で右折、左折などヨットを方向転換させることだ。

タックは風上に向かって方向転換すること、ジャイブは風下に向かって方向転換することだ。

方向転換すると、ヨットが風を受けていた方角が変わるので、クルーは、それにあわせてセイルを左から右、右から左にとロープを引いて入れ換えてあげなければならないのだ。

このタック、ジャイブを、乗組員のチームワークでいかに早くスムーズにするかで、ヨットレースなどでは、勝敗の行方が決まってしまうのだ。

だから、暁などのレース艇の練習では、タック、ジャイブの方向転換を何十回となく練習するのだった。

「そろそろ疲れたから、港に入れてお昼ごはんにしようか?」

「賛成!」

ラッコは、わずか計7回のタックをしただけで、今日はずいぶん練習したので、港に入港して、お昼ごはんにしようかということになった。

暁に比べるとだらしなく思えるかもしれないが、それでもラッコとしては、かなりの練習量をやった方なのだ。

ラッコの普段の日曜日のセイリングでは、タックをするのは、だいたい2~3回だ。

7回もタックをすれば、ラッコにしてみれば、かなりの数のタックをしたことになるのだった。

斎藤智さんの小説「クルージング教室物語」はいかがでしたか。

横浜マリーナでは、斎藤智さんの小説に出てくるような「大人のためのクルージングヨット教室」を開催しています。

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