Skip to content

雪姉さん

1本を読もう

2本を読もう

3本を読もう

4本を読もう

5本を読もう

6本を読もう

7本を読もう

8本を読もう

9本を読もう

10本を読もう

11本を読もう

12本を読もう

13本を読もう

14本を読もう

15本を読もう

16本を読もう

17本を読もう

18本を読もう

19本を読もう

20本を読もう

21本を読もう

22本を読もう

23本を読もう

24本を読もう

25本を読もう

26本を読もう

27本を読もう

28本を読もう

29本を読もう

30本を読もう

この度、横浜マリーナ会員の斎藤智さんが本誌「セーラーズブルー」にてヨットを題材にした小説を連載することとなりました。

クルージング教室物語

第123回

斎藤智

麻美たちのガールズトークは、ヨットのこと、会社のこと、恋愛と話題がつきずに延々と続いていた。

「楽しいよね、ガールズトーク!」

ルリ子と佳代が話している。

「私、もう20代後半なんだけど、私もガールズトークに入れるかな」

洋子が苦笑してみせた。

「洋子ちゃん、可愛いもの、もちろん入れるわよ」

麻美が答えた。

「それよりもガールズトークに、私、30代のおばさんが一人入ってごめんね」

「麻美ちゃんは、ぜんぜん若いよ」

皆が言ってくれた。

「雪ちゃんもくれば良かったのにね。雪ちゃんも、私と同い年だから、ガールズトークにおばさんは、加われないって思って遠慮したのかな?」

麻美が、雪のことを気にしていた。

ラッコの女性メンバーは皆、ショッピングスクエアの喫茶コーナーに来ているというのに、雪だけは、参加していなかった。

「雪ちゃん、マリオネットの傷が気になっていたみたいだったから」

「どうやって、直すのかに興味深々みたいだったよね」

こっちに来るとき、麻美は、雪のことも一緒に誘ったのだが、マリオネットの修理方法に興味があったらしく、雪一人だけマリオネットのところに残って、こっちに来なかったのだった。

「最近、雪さんってヨットに夢中だよね」

「確かに。先週も、ラッコのエンジンのオイル交換したときも、一人で手をまっ黒にしながら、ずっと交換していたよね」

「最近は、セイリングのときも、皆がコクピットでのんびりしているときも、雪さん一人だけウインチ回して、必死でセイルトリムしているよね」

皆は、雪の話題を話していた。

「アウトホールのロープとか引いたり、出したりしながら、セイルのカーブとかいつも気にしているもの」

「だね♪」

「あんまり気にしすぎて、隆さんに、どうせラッコは重たい船だから、そこまで気にしても走らないぞとか言われてた」

女の子たちは、爆笑していた。

「ね、雪ちゃん。ヨットのこと色々覚えてきたみたいよね」

麻美が言った。

「夏とかには、舫い結びがわからなくて、暁の望月さんに怒られていたのにね」

ルリ子が、夏に雪が望月さんに怒られていたことを思い出して笑った。

「確かにそうよね」

麻美も笑った。

「ヨット教室の卒業式の後ぐらいからよね、雪さんが急にヨットのこと色々やり始めたの」

「冬が過ぎて、暖かくなる頃には、雪ちゃんってすっかりベテランヨットマンになっているかもね」

麻美が言った。

それから、しばらく皆は、雪のことをガールズトークの話題の中心にしていた。

船底塗り

隆と雪は、マリオネットの修理を始めていた。

マリオネットの艇庫に戻って来たときの隆は、麻美たち皆が、横浜マリーナのショッピングスクエアでのんびりお茶しているというのに、自分だけが、マリオネットの修理を手伝わなければならないというので、少し機嫌が悪かった。

それが、戻って来ると、雪がいて、一緒に修理を手伝ってくれるということで機嫌が直っていた。

「あれ、雪。こっちにいたんだ。皆とお茶してるのかと思った」

「ずっと、ここにいたよ。修理すると思ってたから」

雪が答えた。

隆たちは、傷がついているマリオネットの船体を、サンドペーパーできれいに整えてから、パテを塗って、傷の凹みを埋めていた。

「俺がやろうか?」

「大丈夫だよ」

雪は、隆がパテ塗りを代わってくれようとしてくれたのを丁寧に断って、自分で塗っていた。

「指とかマニキュアが汚れるかと思って…」

雪に断わられた隆は、つぶやいた。

「マニキュアなんか塗ってないし」

雪は、笑顔で自分の指を隆に見せた。

雪の手は、パテで泥だらけだった。

「すごい。雪の手って、ごついね。男の人の手みたい」

隆は、雪の差し出した手を眺めながら、感想を言った。

「でしょう。力強そうでしょう」

雪は、自分の太い手を自慢そうに見せた。

「隆君の腕よりも、雪の腕のほうが太くて強そうだよ」

中野さんが、2人の会話に入ってきていた。

雪や中野さんに言われて、隆は、自分の細い腕を少し情けなさそうに眺めていた。

雪は、自分の手が汚れることなど、なんとも思わずにパテを塗っていた。

「よし、パテも乾いて来たし、ペンキを塗って仕上げようか」

パテで埋め終わった船体に、白の塗料を塗って、傷がなくなるようにきれいに仕上げるのだ。

「ペンキ塗るの下手だな」

隆は、雪のペンキ塗りを見ながら言って、雪と代わって丁寧にペンキを塗ってみせた。

「細かい作業って、私、あんまり得意じゃないんだよね」

雪が舌を出した。

「最初、出会ったときは、雪って料理とか上手そうな女性と思ってたけど、けっこう男っぽいよね」

「うん。すごくよく言われる」

雪は、隆に言われて、大きく頷いていた。

斎藤智さんの小説「クルージング教室物語」はいかがでしたか。

横浜マリーナでは、斎藤智さんの小説に出てくるような「大人のためのクルージングヨット教室」を開催しています。

Comments

Comments are closed.

こちらのページもよくご覧になられています

 

Widgets

Scroll to top